お前
聞いておくれ
僕がやさしい気持ちになるのはめったにないのだから
淀みに浮かぶうたかたのように
僕達は会いまた別れ
お前の顔の光は
流れの中に消えてしまった
娘達はお前の面影をまとい僕をおびやかす
僕は僕の手のひらの中のお前の顔をにぎりしめる
お前の瞳は
二人の間の超え難い絶望を表わしているようだ
僕達の視線はおびえた小鳥のように飛びはねる
お前は僕でない男に抱かれ愛される
僕がしたであろうように
僕にされたであろうように
(人生はボードレールの一行にしかないと言ったのは誰だったろうか
人生は一抹の悪夢にすぎないと言ったのは誰だったろうか)
お前の(僕とのではない)生活の
優しく美しからんことを僕は願う