井本喬作品集

K子の胸に捧ぐ

 僕の心はねじれていた
僕は怒り しかしその怒りの不当さを知って抑え
どちらにも身をゆだねることの出来ぬゆえにうつうつとしていた
それを君の胸が その豊かさが救った

セーターに包まれた君の胸を見たとき
僕のこだわり
つまらぬ意地 けちな見栄 卑しい決意
そんなものはみな吹っとび
僕は君を一層好きになった

君が僕にどんな態度をとろうと
君が誰を好きになろうとなるまいと
そんなことは関係ない

君の顔
君の頭
君の教養 趣味
そんなことはどうでもいい

君は素敵だ 君は素晴らしい
君のためなら僕は何でもする(つもり)
君がいれば僕は何もいらない(だろう)

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