ある終り
私は城山の公園のベンチに一人ですわっていた
夕暮れが近かった
木々は紅葉し、寒くなりかけていた
白い親子の猫が閉まっている売店の横から出てきた
子猫は楽しそうに親にじゃれついていた
しくじって溝の中に飛び込んだりした
親は時々私の方を見て警戒している
柵の中の鹿がアヒルの池に入ってばしゃばしゃ音を立てていた
アヒル達は池から離れた地面にうずくまっている
展望台まで登ると
六甲の上が真っ赤な夕焼けだった
町は夕がすみの中に沈み
猪名川の水面がにぶく光っている
灯がつきだしていた
どうして私達は自然のように美しくないのだろう
人間という種の宿命なのだろうか
交尾することがどうしてこんなに複雑な意味を持ってしまうのか
心はどうして体から離れてしまうのか
私は一体何をしているのだろう
こんなことではない、もっと違ったことをしているべきなのに
もう、やめよう